2021年8月17日
当日は置賜自給圏推進機構の渡部務代表理事や呼びかけ人の後藤博信(地産地消協議会代表)らが企画したもので、おきたま新電力を株式会社として設立するために、出資予定者と関係者が米沢市の伝国の杜会議室に集まり、設立趣意書と出資額を決めました。
主な決定内容
おきたま新電力株式会社の設立に向けて
設立の主な目的
「地域内の再生可能エネルギーを応用した地産地消のまちづくりで、経済効果を住民に生活支援で還元する」
①おきたま新電力株式会社設立による電力の地産地消
前述のように置賜では域内で生まれた電力のほとんどが売電目的となり外部への流出をしているのが現状です。そこで置賜地区に地域内新電力(以下、おきたま新電力)を設立して域内で電力を地産地消することにより、地域に産業を興し、雇用を生み、富の流出を防ぐことで地域経済の好循環を目指しつつ低炭素化を図ることが本事業の目的であります。
②置賜地域での電力の完全自給自足
置賜地域の発電事業者から既存の調達可能な再生可能エネルギーに加え、地域資源を活用した畜産バイオガス発電所や小水力発電所等の新たな再生可能エネルギーを開発することで、安定供給を可能にし、電力の完全自給自足を目指す。また、やまがた新電力との連携と共同もすすめていきます。
③地域新電力を起点とした、地域課題の解決を
おきたま新電力の収益や自治体と緊密に連携した位置付けを活用して、地域課題を解決するとともに地域経済を活性化するためのスキームの検討を行う。みやまパワーHD株式会社をはじめ出資会社・団体、賛同者などの連携による実験事業も展開していく。
④会社設立時の出資金予定額は8750万円。
出資者は11人の民間会社です。
8月30日登記予定です。
⑤事業開始は2022(令和4)年4月以降とし、三市五町各自治体と民間団体、会社を顧客として営業を展開する。個人宅にも対象を広げていきます。
⑥事業規模 3期目計画は売上5億2千万円。地域貢献事業費880万円から1330万円。当期純利益2200万円を基準とします。
⑦事務局体制 代表取締役社長1人、専務取締役1人、管理業務担当者2人、取締役営業本部長1人、業務アドバイザー1人(非常勤)とします。
自治体の首長様や多くの賛同人の皆様には後日の正式な発足式を予定したいと考えております。
たくさんの皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
さる5月24日、飯豊町と川西町の町境に広がる丘陵「眺山」に、置賜地域の経済人有志17名が集いました。
場所は、東北おひさま発電(株)の「ながめやまバイオガス発電所」。
昨年7月に竣工したバイオガス発電所は、飯豊町内で肥育されている「米沢牛」の家畜排せつ物を主とした原料をメタン発酵させ、発生させたバイオガスをエンジン燃焼・発電する施設で、メタン発酵残渣を畜舎の敷料として再利用するなど、地域資源を無駄なく循環させている発電施設です。
発電資材を肥育牛の排せつ物を中心とした施設は全国的にも珍しく、これまで産業廃棄物として処理または農地に直接施肥されていた「肥育牛排せつ物」の新たな資源化に向けた実証試験と提言の実装現場にもなっている施設でもあります。排せつ物の臭いも少なく(ほとんど感じられない)近隣環境にも配慮されているのも大きな特長のひとつです。
東北おひさま発電(株)代表取締役の後藤博信氏は弊機構の副代表理事でもありますが、平成25年に県内初のメガソーラー発電所竣工を皮切りに、小水力発電・バイオガス発電などを稼働させるなど、多様な地域資源を活かしたエネルギー供給に積極的に取り組んでいます。
バイオガス発電所の見学会に続いての「ゼロカーボンシティと地産地消エネルギー 学習会」では、みやまPHDの代表の磯部達氏より講演をいただきました。
磯部氏は、ドイツにおける「シュタットベルケ」の公益的企業による社会貢献のかたちを置賜地域で展開する意義とその実行可能性を熱く説かれました。
この度の参加者である、小売電気事業会社「おきたま新電力(仮)」設立への期待と協力を表明いただいている経済人有志の方々は、バイオマス発電事業の規模と発想・地域貢献の理念に感銘されたと同時に、新電力会社立ち上げの意義と広域圏にたいする社会貢献度・公益性にもあらため共感された様子でした。
3市5町が掲げる「定住自立圏構想」や複数の自治体が表明した「ゼロカーボン宣言都市」の具体的政策実現に資する「地域新電力会社」の設立が待たれるところです。
尚、新電力会社の概要や事業計画などの公表については、関係者の同意を得たうえで、時期をみて行いたいと考えています。
文/T.E 写真/K.K
置賜自給圏トピックス 2021年4月22日木曜日
「置賜地方は豊かな自然環境がもたらす様々な恩恵をうけている」とよく言われますが、
私達の普段の暮らしのなかで、その恩恵を実感することはあまり無いようにも感じます。
確かに、農地は広がっていますし、森林も豊かな緑をたたえ、山々から流れ下る川の水も美しく豊富です。
私達の暮らしや命に欠かせないモノを挙げると、食糧、水、空気は勿論のことですが、電気をはじめとする「エネルギー」も必要不可欠であることは言うまでもありませんが、さて、置賜地域に住まう人々21万人の食は置賜の30,000haの農地で支え、水は最上川や支流で賄えるとして、電気は賄えるのでしょうか。
一昨年に長井市と川西町が環境省の事業採択をうけてスタートした地域内の自治体公共施設の電力需要量調査は、現在でも「置賜地域エネルギー自給自足推進協議会」が引き続き調査研究を続けています。
現時点での調査結果として、特筆すべき事柄を要約して示したいと思います。
(1)置賜地域の公共施設の電力使用量
→ 全体で約5千2万kwh
(2)置賜地域の家庭の電力消費量
→ 約7万5千世帯×360kW/月=3億2千4百万kw/年
(3)置賜地域の再エネ発電量
→ 824,577,574kw/年 (内訳) 太陽光278カ所・バイオガス6カ所・水力16カ所・風力2カ所
発電事業は官民合計の数字ですが、これらの数字から、電力の地域内自給自足が可能であることが分かります。
ただし現状は、発電された電気は主に域外へ売電されているために地域内での発電事業がもたらす地域貢献度の実感には至っていないと言えるでしょう。
置賜地域で発電された電気を置賜地域で使うということが出来れば、食・水・エネルギーを地域内で賄うことが出来る、言わば「外部依存を減らし自立した持続可能地域」になれると思います。
広域行政施策としても「置賜定住自立圏構想」に叶う地域の形であり、目下、新しいエネルギー小売り事業等を手がける法人設立を目指して、置賜管内の各自治体・機関・団体との話し合いを重ねているところです。
「置賜由来のエネルギーを置賜で使う」ということは、置賜に生かされていることを実感するということでもあります。
今あらためて、この地域での新たな暮らし方を提案して行きたいものです。
文 … T・E 写真…K・K
置賜自給圏ニュース 2020年9月26日土曜日
営農型太陽光発電、いわゆる「ソーラーシェアリング」の稼働実例が置賜地域の農地にも多く見られるようになりました。
営農型と言うからには、発電による売電収入の約束が必須条件ですが、農地の形態や栽培作物への影響、周辺環境への影響などについても多角的な検討が必要となります。
2020年7月13日と翌8月5日、田んぼのソーラーシェアリング事業に対して「置賜自給圏推進機構」としての考え方を聞きたいとの要請を受けた相談会が開かれました。
出席したのは、相談者である稲作営農者、自給圏からは井上専務理事・高橋常務理事・江口常務理事・川崎事務局員。そして、ソーラーシェアリング事業を推進している事業者の延べ5名。
ソーラーシェアリング予定地の実情は、地形的(水位が高く水はけ不良)な制約もあり収量が芳しくない上に後継者の不足。
また水利費用や組合費、農道維持費など営農経費の負担などが重く、稲作生産の継続性が危ぶまれているとのことでした。
そこで、発電事業とタイアップして営農経費負担を軽くするというアイディアが生まれたというわけです。
確かに、農地を守っていくには十分な収益を確保する手段が必要ですが、景観維持や環境保全という観点も求められている中にあっては、難しい課題とも言えます。
小規模農地における発電事業の例は、圏内でも山形県内でも見受けられますし、発電した電気を地域貢献に役立ている実践例もありますが、今般の相談は、発電事業者が発電規模拡大を想定していると知り、山地におけるメガソーラー発電所建設に代わる新たな大規模ソーラー発電事業に対しての検討課題抽出という内容の相談会となりました。
置賜自給圏推進機構として正式なコミットメントには至りませんが、出席者からは発電事業そのものの採算性や、持続性のある営農形態への転換アイディアの必要性。地域のコンセンサスの得方などにわたって様々な考え方が述べられました。
実際の農業経営の実情は将来不安要素が山積みであり、その不安を収益面で少しでも払しょくさせたいという期待は理解できますが、山地・林地と同様に農地の経済的価値の目減りに乗じたソーラーシェアリング事業計画であってはならないという考え方を述べ合いました。
農業分野からのエネルギー事業参入についてはすでに資源活用や地域貢献実践の事例もあり、今後も様々な調査・研究がなされるものと期待されますが、農地のソーラーシェアリングも同様に研究がなされることを期待して相談会を閉じました。
(この度は、個人名や企業名は伏しての報告としましたが、折に触れてその後の進捗状況など尋ねてみたいと考えています)
文 … T・E
置賜自給圏トピックス 2020年9月21日
最近の置賜自給圏推進機構は、もっぱらエネルギーの自給自足に向けた議論が中心となっていましたが、常務理事の方々、中でも農業を生業としている方々6人が集い、置賜地域における今後の農の世界についての意見交換会が去る7月末に長井市内で行われました。
コロナ禍にあって、都会から地方への移住が増加傾向にあると仄聞しますが、移住者の方々は少なからず「農」を意識しているといいます。
生命をつなぐ手段としての「健康な食」の得方に関心が高まってきているということでしょうか。
新型コロナウィルス感染症の蔓延によって変化したライフスタイルがもたらすモノは、新しい農の形にも影響を与えるということでしょうか。
常務理事による「農を語る」では、今後どのように変化するか分からない農のスタイルについて、また、置賜自給圏における永続的な食糧生産について議論されました。
「後継者の不足による営農継続の危うさが叫ばれているが、大規模化政策によって家族農業や小規模農業経営が経済の間尺に合わないという理由で農業生産現場の片隅に追いやられていくようではならない。
置賜の地域資源(土地柄・人材・機材など)を共同して十分に活用できるような『地域システム』づくりが必要」といった意見が出されました。
常務理事による新しい営農アイディアの具体的提案までには至りませんでしたが、儲かる農業だけではなく、誰のための農業・食料生産なのかという地域共同体としての営農の在り方を考える勉強会の開催の必要性も提案されました。
置賜自給圏構想において、農(食)とエネルギーの自給的自立は欠くことが出来ない要件ですから、これからも継続的に「農」を語り、規模に囚われることなく継続される農の在り方を考えて行かなければなりません。
思えば、私達が日頃眺めている景色の大部分は、農の風景です。
一市民として一消費者としても私たちの命の糧である生産現場を見過ごしてはなりません。
消費者も「農」を作り上げる責任を担っていきたいものです。
文 … T・E
置賜自給圏推進機構後藤博信副代表理事が米沢市倫理法人会で講演をいたします。後藤副代表が社長をを務める東北おひさま発電株式会社では、この度山形県飯豊町に「飯豊ながめ山バイオマス発電事業」を始めました。米沢牛の飼育を始め乳牛も飼育しているながめ山での糞尿のエネルギーををバイオガス発電に応用するという大挑戦です。なぜ、後藤社長が再エネ事業に挑むのか、この講演の中から後藤社長の置賜での新しい生き方を学びませんか。
講演会にご参加希望の方は9月14日まで下記の欄にお申し込みいただくこともできます。
自給圏トピックス 2020年7月13日月曜日
高畠納豆製の「ねばりっこ経木納豆」は、昨年6月から自給圏のシンボルマークが貼付されて生活クラブやまがた生活協同組合の組合員の方々に販売されてきました。
シンボルマーク認定商品として厳しい審査を経た「ねばりっこ納豆」は、納豆の原料となる「大豆」も置賜産。
流通も米沢に拠点を置く「生活クラブやまがた生活協同組合」が流通・販売を担い組合員の方々の理解と購入協力を得て盛況の一年が経過しました。
2020年7月13日(月)午後1時30分、生活クラブやまがた生活協同組合2階の会議室には、「ねばりっこ経木納豆」の製造者・有限会社高畠納豆代表取締役 加藤義博氏と大豆生産者の 農事組合法人新田営農組合代表理事 手塚隆氏。
流通を担う 生活クラブやまがた生活協同組合専務理事 高橋尚氏と同じく流通と消費を支援して下さる 生協理事長の長谷部玲子氏と三浦賀寿子理事。
同じく生協・消費委員長の鈴木郁子氏。
そして、自給圏推進機構から渡部代表理事と井上専務理事。横山、江口の両常務理事が会し、シンボルマーク認定商品販売にかかる還元金の贈呈式が行われました。
※還元金とは
シンボルマーク認証商品の販売額から、製品製造者・原料生産者・流通業者・消費者・置賜自給圏推進機構の五者それぞれに1商品あたり1円を還元金として支払うというもので、地産地消の志に五者それぞれが敬意を表しあう仕組みです。
渡部代表理事の挨拶の後、高畠納豆代表の加藤氏より「地豆100%納豆」と謳った2019年度は前年売り上げの110,7%となったとの実績報告がありました。
販売実数は26,000個を超え、五者にはそれぞれ還元金が贈呈されました。
また、生活クラブやまがた生協が独自に実施した、自給圏シンボルマークシールを貯めてプレゼントをゲットするという取り組みの報告があり、200シールが貼り付け出来る台紙(地産地消のきろく)を何冊も提出して下さった組合員もおられたとのことでした。
2019年度のシンボルマーク認証納豆の製造販売消費活動によって、地場大豆(シュウリュウ)1,500キロが消費されたことになります。
大豆畑の面積に置き換えると約7反となり、大きな地場物転換とは言えない規模ではありますが、このような取り組みの継続によって消費者のエシカル消費(倫理的、道徳的消費)行動へと変容していくことで、地場物思考の高まりが促進され、やがては自給圏構想の理念がより鮮明に具現化されていくものと思います。
今後は『ねばりっこ経木納豆』の他にも、新たな商品開発を期待したいものです。
文 … T・E
7月27日、28日、29日未明の東北、新潟県への集中豪雨により、置賜自給圏推進機構の置賜地区でも被害がありました。
被害に遭われた皆様には心よりお見舞いを申し上げます。
最上川やその支流にあたる河川の多くが氾濫し、田畑や果樹などへの影響は計り知れません。
また、最上川中流にあたる大江町、河北町、さらには大石田町などの被害は深刻です。
全国各地でいつどこで天災による被害に遭うかわからない状態です。
皆様、どうぞ健康に留意されまして、いざという時には避難することを第一にしていのちをお守りください。
2020年7月30日木曜日 一般社団 置賜自給圏推進機構
置賜自給圏トピックス 2020年4月6日月曜日
「長井市創生に向けて」
令和2年2月22日、長井市の旧長井小学校第一校舎を会場にした「ピコ・マイクロ水力発電シンポジウム」が開催されました。
このシンポジウムは第三回となる「ピコ水力発電シンポジウム」との共催で行われたもので、環境省の採択を受けた『地域の多様な課題に応える脱炭素型地域づくりモデル形成事業』の一つです。
「水のまち」と言われるほど小河川や市街地水路が多く在る長井市は、以前から河川の環境美化に取り組んできていますが、小河川や水路などを水力発電の実装地にできないかと調査研究をしてきた経緯があります。
この度の補助事業は、ピコ・マイクロといった微小電力を生み出して地域に役立つインフラとして整備することの可能性調査を目的としたものです。
今後、必ずや課題となる「高齢者の移動手段の在り方」を検討するにあたり、その交通システムのエネルギーを市内で仕上がったピコ・マイクロ水力発電に求めようという研究ですが、全国的にはいくつか先進事例もあり、シンポジウムではその事例報告も含めて、研究者や水車・発電機器の開発事業者などから今後の可能性調査の報告がなされました。
シンポジウムの第一部では、内山知実 名古屋大学教授(ピコ水力発電研究会 代表)、本橋 元 鶴岡工業高等専門学校教授、株式会社吉田製作所社長 吉田重成氏、中越工業株式会社会長 綱島浩氏による、ピコ水力発電のための水資源調査と実装についての研究と実装報告がなされました。
水路を流れる水の量や速度、水深や水路の幅など場所によって違う発電環境の課題などの提案がなされました。
第二部は「マイクロ水力発電の取り組みと可能性調査報告」と題して、長井市内における水力発電の取り組みの実例を、東北おひさま発電株式会社の後藤博信代表取締役と野川土地改良区の大石辰彦総務課長より発表していただきました。
信州大学名誉教授 池田俊彦氏からはマイクロ水力発電適地調査の結果の報告、そして、マイクロ水力発電によるEV運用事例調査の報告がありました。
今後、これらの調査・報告をどのように長井市創生に活用していくのかが協議のテーマとなります。
シンポジウムを主催した「ピコ・マイクロ水力を活用した長井市創生に関する協議会」を置賜自給圏推進機構に移管して取り組みを進めていくここになりました。
各地域における住民の移動手段に自然エネルギーをいかに活用するかという課題は、先ず地域のニーズを丁寧に調査することから始まります。
置賜自給圏推進機構として長井市が取り組んだ事例を参考にしながら、置賜地域全体にもテーマを波及させていきたいとも考えています。
発電事業のイニシャルコストを売電収入によって賄うことが難しいといわれる微小電力発電事業は、住民ニーズに応える活用アイディアを探ることによって公共政策の一つに上るものと考えます。
置賜地域の豊かな水資源をより身近に感じられるよう取り組みを進めていきたいものです。
文 … T・E
たかはた共生塾からのお知らせ 2020年3月5日木曜日
3月14日開催予定の第26回たかはた共生塾連続講座「農村のための経済学入門」(講師:大山利男さん)は新コロナウイルス予防対策のために中止とさせていただきます。
大変申し訳ございません。
置賜自給圏ニュース 2020年2月18日火曜日
本年度の環境省補助事業に採択された「脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業」の調査事業のまとめとなるシンポジウムが、令和2年2月18日(火)長井市タスパークホテル・バンケットホールにて開催されました。
本事業は長井市と川西町の共同申請による調査事業ですが、一市一町内の電気需給量を調査し、公共施設を供給先とした「新電力会社」を設立させるための(※)FSでもあります。
※「フィジビリティスタディ」(feasibility study)の略。計画が実現可能であるかどうかを見極めるために、あらかじめ行なわれる調査。
新電力会社の設立は、売電収益を地域課題解決事業への投資や行政の住民サービス事業へのサポートといった、いわゆる利益の地域還元を目的としたものですが、今後の社会貢献事業の形態として大いに関心が高まっている経営を目指したものです。
シンポジウムは、「新ビジョン2050・プラチナ社会が目指す豊かな産業・地域の未来象」と題した、プラチナ構想ネットワーク会長の小宮山宏氏(三菱総合研究所理事長)の基調講演で始まりました。
氏はグローバル経済社会の歪と経済成長の限界の中で、今取り組むべき地域創生の形を具体的な数値指標を基に提言されました。
特に既存のエネルギーの消費システムに警鐘を鳴らすと同時に、置賜地域に賦存するエネルギー利用の在り方に大きな期待を寄せられました。
小宮山氏の講演に続くパネルディスカッションは、福岡県みやま市において地域エネルギー会社を設立された、みやまパワーHD代表取締役社長 磯部達氏、和のくらし文化研究所代表取締役の宮原博通氏、内谷重治 長井市長、原田俊二 川西町長をパネリストに迎え、東北おひさま発電株式会社代表取締役の後藤博信氏のコーディネート進められました。
ディスカッションのコメンテーターとして講師の小宮山宏氏も加わり、それぞれが関わる地域事情と今後のあるべき地域の形への期待が熱く語られました。
また、既存の経済やマネジメントシステムをどのように変革させ、市民のコンセンサスを得るかという課題も提言されました。
地域で生まれるエネルギーを地域で使うという発想は、一極集中型から地域分散型へとシフトしつつある国の形を考えれば時代の要請でもあります。
置賜自給圏構想には、「地域資源を有効に活用しながら富の域外流出を抑え、経済の地域循環と雇用創出を図る」が掲げられていますが、予定の120名を超える150名の参加者の皆さんには、置賜自給圏構想(置賜地域循環共生圏と同義)の一端を理解していただけたものと思います。
次年度以降は、今年度のFSの範囲を置賜全体に広げて行きながら、現在置賜3市5町で取り組んでいる「置賜定住自立圏構想」の促進にも寄与していきたいと考えます。
未来からの負託にどのように応えるか調査・研究し、そして今を動かしていかなければなりません。この度のシンポジウムは、置賜地域に本格的なイノベーションの期待を予感させるものとなりました。
文 … T・E
ピコ・マイクロ水力発電シンポジウムのお問合せかご参加希望かの件をご記入の上、下記の欄にて送信してください。
置賜自給圏トピックス 2019年12月26日木曜日
ピコ・マイクロ水力発電を活用した長井市創生に関する協議会(会長・置賜自給圏推進機構常務理事 江口忠博)による先進地視察が実施されました。
今回の視察研修は「脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業」として、環境省の採択を得た調査補助事業です。
昨年12月26日(木)、長野県須坂市と長野県信濃町にある発電施設に赴いたのは、長井市内の4地区のコミニュティーセンター関係者と名古屋、信州、大正の各大学と鶴岡高専の研究者、そして長井市の地域づくり推進課と発電施設施工実績のある企業と技術者たち。ピコ・マイクロ水力発電事業の提案を続けてきた置賜自給圏推進機構から江口常務理事も参加しました。
長井市では、小規模な発電施設によって発電された電気を、将来の地域コミュニティの交通システムのEV車に供給するという目標を描き、各方面の専門家の協力を得て地域実装を目指しています。
長井市は、水力発電事業では県内初の発電所を有しているほど地池的にも水力発電の適地ともいえる地域です。
一昨年から市街地を流れる小河川を活用した小規模発電のための水境調査を実施し、昨年秋には小河川での発電実証試験に成功しています。
この度は、小規模水力発発電の先進地ともいえる長野県の実証施設を視察して、長井市内の更なる発電施設整備の可能性を探ろうというものです。
五か所の発電施設を現地の施設担当者の案内で視察してきましたが、いずれの施設もそれぞれの土地柄に合った発電状況でありました。
大規模なダム建設を伴わずとも、砂防ダムや身近な河川を利用した発電技術の進歩を感じることが出来ました。
今後は、長井市内の活用可能な水路環境を調査し、地元企業による水車や発電機の開発も含め、地域に根差したエネルギー開発を進めていきたいものです。
文・写真 … T・E
置賜自給圏トピックス 10月18日金曜日
将来の地域における公共交通システムの在り方については、住民の高齢化に伴ういわゆる移動手段としての「足」の確保対策をはじめ、コミュニティ内の人々の「関わり合いサービス」への活用も含めて、さまざまな話し合いや検討が始まっています。
この交通システムには、現状では移動手段としての車両配備が欠かせませんが、その車両を動かすためのエネルギーに地域の水力発電による電気を使用しようと、昨年10月18日(金)に、環境省の「平成31年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」を活用し「長井市ピコ・マイクロ水力発電を活用した長井市創生に関する協議会」が発足しました。
以前より置賜自給圏推進機構が長井市内の小規模河川を利用した「ピコ・マイクロ水流発電」の地域実装を提唱してきたという経緯もあり、協議会の会長には本機構の江口常務理事が就任しました。
住民の「足」となる公共交通システムに地域内で仕上がった電気を活用するというプランは全国各地でいくつかの実証試験が始まっていますが、豊かな河川環境を有する長井市ではピコ・マイクロと呼ばれる売電には適さない小規模水力発電による電気を活用した「コミュニティ内の移動手段」の研究がスタートしました。近い将来には化石燃料を使った車両の利用が叶わなくなるという時勢の中での協議会の調査研究には大きな期待が寄せられます。
置賜自給圏構想では、食料やエネルギーの自給自足を目指した地域を描いていますが「二酸化炭素排出ゼロ」を目指した再生可能エネルギーの地域内調達とその利用便益を地域コミュニティ活性化につなげるための調査・研究が、長井市を先例として置賜全体にまで広がってゆくことを願うものです。
「自給圏構想…エネルギーの自給自足にむけて」
置賜自給圏トピックス 11月22日
昨秋に環境省補助事業申請に採択された「電力の完全自給自足・置賜自給圏構想モデル事業」は、昨年11月22日(金)に「置賜地域エネルギー自給自足推進協議会」の設立総会を経て、本格調査が進捗しています。
協議会は、置賜地域における地域活性化のための地域循環共生圏の形成を目指し、地域団体、産業団体、学術機関、行政等が一体となって再生可能エネルギーの自給自足に向けた地域システムづくりを推進することを目的として設立されました。
この事業は、長井市と川西町から置賜自給圏推進機構が調査事業を委託され、年度末を目途に事業を完了させるために鋭意調査活動を進めているところです。圏内における再生可能エネルギーの総発電量と公共施設等で使用する電気の総需要量の調査を基にして、圏外に流出している電気料金を圏内で還流させ、新たな地域資本として活用できるかの可能性を探る調査ですが、小規模ソーラー発電施設が予想以上に多いことに驚いています。
FITによる固定価格の買い取り契約が終了する発電施設への対策対応が迫られてくる中にあって、電力を地域資源として活用するアイディアは膨らむばかりです。
大手電力会社が独占してきた発電と電気販売事業は「発送電分離政策」によって大きく変容してきましたが、地方振興への貢献度はまだまだ低調です。消滅自治体とされる町が増える中にあって、今こそ自治体の自立政策が希求されていますが、その自立と持続政策の中に食料の自給率向上はもとよりエネルギーの自給自足政策も必須と考えられる現在、長井市と川西町だけにとどまらない置賜3市5町の「定住自立圏構想」にも反映できるものと期待しています。
文 … T・E
一般社団法人 置賜自給圏推進機構
常務理事 江口忠博
10月4日に行われた『第12期のプラチナ構想スクール』での講演報告をさせていただきました。
まず「プラチナ構想スクール」とは、三菱総研理事長(東京大学28代総長)の小宮山宏先生が主宰する「プラチナ構想ネットワーク」の自治体職員に対する啓発事業の一つです。
全国各地から比較的若い地方自治体職員の参加のもとで毎年介されているセミナーで、今回は、北は岩手県から南は大分県にいたる20名の県・市職員の皆さんが参加しておられました。
プラチナ構想ネットワーク様からは、2017年7月に開催した『プラチナ構想ネットワーク・inおきたまシンポジウム』開催以降、自給圏構想に対して種々のお力添えをいただいてきました。
今回与えられた講演テーマは「持続可能な地域循環システム」でしたが、長井市の「レインボープランにおける地域事情」を中心にした話をと希望されましたので、スタートから20年が経過した「生ごみリサイクルシステムの現状と課題」また「地域内における生産と消費の共生関係の実情」など話をさせていただきました。
以前から、『循環とは巡りくる約束』と提唱している私の持論を織り交ぜて、生産と消費が近接することがもたらす「安心感の構築」の必要性や、「付加価値」と「付加価格」の違いなど、質疑応答時間を含めて90分の講演をさせていただきました。
会場の自治体職員の皆さんからは、「レインボープランのシステム稼働コストは多角的な効果を考えて判断すべき」であるとか「将来世代への食育効果も見込めるシステムである」また「移住を促す効果もある地域政策だ」などと、今後のレインボープランに期待する声が多く寄せられました。
置賜自給圏構想の食とエネルギーの自給に向けた思考にも関心が寄せられ、今後各地方自治体がどのような姿で自立し持続可能な地域社会を構築していけばよいのか、私も共に学ばせていただいたセミナーとなりました。
お世話いただきました、プラチナ構想ネットワーク事務局の皆様に感謝を申し上げます。
写真 … プラチナ構想ネットワーク事務局
置賜自給圏トピックス 2019年10月6日
再生可能エネルギーによる新電力事業の本格的な調査事業2件がスタートしました
置賜自給圏構想エリア内におけるエネルギーの需給量と賦存量調査がスタートすることになりました。
これは、環境省の「平成31年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金・脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業」の内『地域の多様な課題に応える脱炭素型地域づくりモデル形勢事業』に応募し採択された二つの事業です。
「電力の完全自給自足・置賜自給圏構想モデル事業」
一つ目は、長井市が申請者となり川西町が共同申請した「電力の完全自給自足・置賜自給圏構想モデル事業」です。この事業は、1市1町内での電力の需給量を調べ、また将来のエネルギービジョン策定に資するための賦存量も調べるというものです。
他市町の協力も得ながら置賜地域に地産地消による新電力会社設立につなげるためのFS事業で、再生可能エネルギーの自給を通して持続可能な地域像を探る「置賜自給圏構想」を唱える当機構にとっては意義があり、調査結果に期待したい事業のひとつです。水力・太陽光・木質バイオマスなど域内の既存発電量と需要量を調査することによって、新電力会社設立の可能性を探るというものです。
11月には長井市、川西町、山形大学、置賜自給圏らによる協議会設立を予定しています。
「ピコ水力発電の実装を目指す調査事業」
二つ目は、長井市におけるピコ水力発電の実装を目指す調査事業です。長井市では今年9月までの一年間、市街地水路の流環境調査を実施して来ましたが、いよいよ本格的な水車・発電機器の開発と地域実装につなげるための調査事業となります。
売電には不向きな微小な電力を市民生活に近接する身近な河川で発電し防犯灯や観光wi-fiに活用する等、将来期待される発電事業でもあります。長井市では三年ほど前から大学や民間の研究者たちのアドバイスを受け、すぐに役立つ身近なピコ水力発電を調査してきました。山間部における農作物等の獣害対策への電気利用や蓄電による交通機関への活用なども考えられるなど、買わずに使える電気・発電への可能性を探る研究と言えます。
これら2つは、自給圏推進機構も参画して事業を進めていきますが、この度の調査事業に応募し採択された長井市と川西町以外の置賜地域2市4町にも調査の成果を反映させて、いずれは置賜地域全体でのエネルギーの自給構想につなげて行きたいと考えています。どうぞご理解とご協力をお願いします。
文 … T・E
置賜自給圏トピックス 2019年7月25日
「置賜自給圏推進機構認定商品」の第1号認定式が2019年7月25日に多くのの関係者の参加のもと、米沢市にある伝国の杜会議室にて開催されました。
シンボルマークは2015年11月に当時の東北芸術工科大学デザイン工学部3年の関玖瑠未(せきくるみ)さんのデザインによるものです。
マークが完成して以来、表示に関する各種ルールが未整備であったために、表示商品の販売までずいぶん時間を要してしまいましたが、関係者のご尽力により、ついに認定商品が完成し販売にいたることが出来ました。
この度、記念すべき第1号の商品認定を受けたのは、(有)高畠納豆製の「ねばりっこ経木納豆」です。
原料の大豆は米沢市上新田の手塚隆さんの大粒種「シュウリュウ」大豆です。
シンボルマーク表示に際しては、厳しい審査基準をクリヤーしなければなりませんが、原料生産者、商品製造者、流通販売事業者それぞれが『置賜自給圏構想』の理念にのっとった事業経営を求められることになります。
この度の商品「ねばりっこ経木納豆」は、生活クラブやまがた生活協同組合による販売となりますが、当面は年間30,000個の販売を見込んでいるとのことです。
約30名の関係者が出席した認定式は、渡部務代表理事の挨拶に始まり、(有)高畠納豆の加藤義博代表取締役への認定書交付、横山太吉常務理事の審査講評、シンボルマークの紹介と今後の展開発表と続き、第二部には高畠納豆の加藤氏より「夏こそ納豆」と題した記念講演が行われました。
そして、後援に続いて行われたのは「試食会」。
「試食会」は、認定商品となった「ねばりっこ経木納豆」をいろいろな味で楽しもうと、12種類素材をトッピングした納豆を炊きたてのご飯に乗せて味わいました。
味付けの工夫を凝らしていただいた生活クラブやまがたのみなさんのアイディアに驚かされた試食会となりました。
今後、シンボルマークが様々な商品や企業活動などに表示され、置賜地域の彩に加えていければ幸いに思います。
文 … T・E 写真 … T.T
置賜自給圏トピックス 2019年7月10日
かねてより一般社団法人置賜自給圏推進機構が提唱している地産地消事業として、置賜で採れた原料を、置賜の加工業者が加工し、置賜に住む人たちが食べる取り組みが完成しました。
この取り組みは、農事法人新田営農組合様、有限会社高畠納豆様、生活クラブやまがた生活協同組合の三団体の企画によるものです。
つきましては、一般社団法人置賜自給圏推進機構のシンボルマーク認定品第1号として認定する「シンボルマーク認定式」を次の日程にて開催いたします。関心のある皆さまには万障繰り合わせの上、ぜひご出席いただきますようご案内申し上げます。
記
1.日 時 2019年7月25日(木)午前10時から
2.会 場 伝国の杜 2階 第2小会議室(米沢市丸の内1丁目2-1)
3.内 容
(1)認定証交付
(2)シンボルマークの紹介と今後の展開
(3)記念講演 (仮題)「納豆と健康」
㈲ 高畠納豆 代表取締役 加藤 義博 様
(4)試食会
4.出欠のご連絡は、恐れ入りますが別紙「出欠連絡票」に必要事項を記入の上、
7/20(土)までファックス(FAX 0238-33-9354)にてお知らせくださるようお願いします。
以上
【問合せ先】
生活クラブやまがた生活協同組合 専務理事 髙橋 尚
(置賜自給圏推進機構 常務理事)
〒992-0025 山形県米沢市通町6-16-57
TEL:0238(23)7232 FAX:0238(23)7272
置賜自給圏トピックス
本年6月12日(水)午後7時から新潟市生涯学習センターにて行われた「にいがた市民大学 講座」に講師として招かれた常務理事の江口忠博氏が、置賜自給圏構想の思いを講演してきました。
新潟市生涯学習センターでは40人ほどの受講生が、置賜地方の現状と将来の設計図や地方における暮らし方などに及んだ江口常務理事の話に熱心に耳を傾けていました。
江口常務理事 談
新潟市の人口は置賜地域の全人口とほぼ同じ。長井市から出かけた私にとって新潟市は大都会。
置賜が抱えている地域課題とは別の都市部ならではの課題も多いことと思いますが、市民の方々の将来への不安には共通点も多いと感じました。
休憩時間も入れて約2時間の講義でしたが、休憩時に受講生から回収されたコメントペーパーには多くの感想や質問が寄せられました。
その一つ一つに答えるには時間も足りず、また別の機会にと言葉を残し会場を後にしたのですが、コーディネイト役を務めていただいた新潟大学農学部の先生方から、今秋頃に「修学旅行」として置賜を訪ねてみたいという希望も述べられました。
広域で取り組むことの行政的課題や、構想の趣旨に賛同してくれた地域の方々の期待にどう応えていけばよいのか。
また、機構の会員の参画意識を低下させることなく持続していく活動や事業の在り方など、機構としての課題もあらためて考えさせられた郷演となりました。
新潟の方々からみれば「自給圏」という発想そのものが非常に関心をもって受け止められたものと思います。
国内において、広域で自給圏を謳う構想は珍しいものと思いますが、それだけに課題も多くあります。
まずは遅い歩みでも、一歩ずつですね。
文 T・E 写真提供 新潟市生涯学習センター
置賜自給圏トピックス 2019年6月20日
かねてから、置賜自給圏構想を知っていただけるようにシンボルマーク貼付の商品開発を企画・検討してきました。これまで実験的にシンボルマークを包材にデザインした地場大豆使用の味噌が発売されたことがありましたが、この度は、生活クラブやまがた生活協同組合が組合員に販売する納豆(商品名「ねばりっこ」)にシンボルマークを貼付することになりました。
シンボルマークについては、貼付する商品の品質や生産流通にかかわる事業者や消費者の方々に、地域における農を含む資源と経済の循環についてご理解を深めていただいた上での使用が大切だと考えています。
この度のシンボルマーク使用については、生活クラブやまがた生活協同組合から商品開発から流通販売に至るまで、商品の品質はもとより、生産者から消費者に商品が届く全過程で、それぞれに経済的還元が行われるシステムも提案いただきました。
今後もシンボルマークが貼られた企画商品が各種登場することを期待していますが、単に商品だけにとどまらず、事業スタイルや経営理念にいたるまで、自給圏構想に合致している事案にシンボルマークを掲げることが可能となるかもしれません。
置賜の地を巡ると自給圏のシンボルマークを目にすることが出来るように…と夢見ながら、これからもシンボルマークの普及に取り組んでいきたいと思います。
文 … T・E
昨年に引き続き今年もピコ水力発電シンポジウムを開催いたします。再エネが注目をあびる一方で、ピコ水力発電への期待も大きくなっています。この電力に官民一体となって取り組もうとしている山形県長井市です。
農村のありかたや人間の営みを常に追求する「たかはた共生塾」
今回は「地方で生きる」をテーマに私らしく生きることを考えてみようという企画です。
講師は朝日新聞 編集・論説委員の
高橋純子さんです。
ぜひご参加ください。
参加申し込みとお問合せは以下のフォームからも受け付けております。
またファックでも受け付けております。
置賜自給圏推進機構
Fax:0238‐33‐9354
今回で4回目となる「置賜の将来ビジョンを考える意見交換会」は、さる2月2日(木)の午後1時30分から、山大工学部百周年記念会館で開催されました。
東京大学や山形大学工学部の学生を含む教育研究機関関係者およびプラチナ構想ネットワーク事務局、そして置賜自給圏推進機構関係者など総勢26名の参加者でした。
自給圏推進機構の渡部共同代表の挨拶のあと、東京大学 総長室・総括プロジェクト機構「プラチナ社会総括寄付講座」代表の菊池准教授のレクチャーから意見交換会がスタートしました。
また、山形大学工学部応用化学科野田博行先生からの「消毒をしない果物生産とバイオマスへの挑戦について」の報告、同大学物資化学工学専攻樋口建志先生の「雪室を応用したシェア冷房装置による除雪労働の軽減と雪エネルギーの普及」など実にユニークな研究発表がありました。
前回の意見交換会では、ビジョンづくりのために必要な調査の担い手を自薦推薦して具体的なビジョンづくりへと議論が進みましたが、今回は初参加の方にも考慮して地域にとって何故新たなイノベーションが必要なのか再確認する議論から始まりました。
学生からの意見も積極的に出され、映画「おだやかな革命」(渡辺智史監督)を多くの若者に鑑賞させて、自分たちの住む地域のエネルギーなどの在り方などを考えるチャンスを作りたいなど具体的な提案も出されました。
地域の将来ビジョンには地域の現状を知ることから始まりますが、地域が目指す目標も立てなればなりません。
また、国連で採択された「持続可能な開発」のための17のグローバル目標である『SDGs』も取り入れながら地域の未来図を考えていくことが求められる時代ですので、地域の未利用資源の調査と将来の社会シナリオを分析することが重要になります。
置賜自給圏推進機構からは、みやま式スマートエネルギーの電力会社と自治体との連携で、子育てや高齢者福祉の実践にあたることをこの間提案している経過も報告されました。
菊池先生からは、地域や個人の現業(生業)から見えてくる課題解決のための調査や支援策立案には、これからも大学等研究教育機関がサポートするという考えが表明されましたが、あくまでも主体者となる置賜の住人のニーズを鮮明に描くことが求められているようです。
今後も意見交換会は継続して開催される予定ですが、産学公民の連携にむけた取り組みに鑑みれば3市5町の行政関係者にもこぞって参加してもらえる企画をと考えています。
置賜自給圏推進機構と交流を続けております「プラチナ構想ネットワーク」から「第12回プラチナシンポジウム」のご案内がきております。
今回は「よみがえれ森林資源大国日本!!」をタイトルにしてありますが、岡山県真庭市や会津13地区の資源フル活用などの実践事例も紹介されるようです。
ご紹介申し上げます。
参加ご希望の方は下記の事務局へご連絡をお願いいたします。
置賜自給圏トピックス 2019年2月8日金曜日
30年後、40年後という将来の置賜や各人の業のかたちを語りませんか?
夢を語れば具体的な課題も出てきますが、大学や研究機関がそれらの課題解決のためのサポート役を果たします。
今回で四回目となる意見交換会ですが、これまで同様に「プラチナ構想ネットワーク・事務局」と「東京大学」「山形大学」の協力と支援のもと、若い世代の方々の参加も得ながら意義ある意見交換会にして参ります。
日時 : 2019年2月21日(木)13:30~17:00
場所 : 山形大学工学部百周年記念会館セミナールーム
※山形大学工学部正門を入ってすぐ左手の建物です
www.ykk1910.jp/about/seminarroom
⑴ ワークショップ 「30年後、40年後の置賜に向けた具体的なアクション」をテーマ(仮)として、 東京大学菊池康紀准教授のリードによるワークショップを行います。 ⑵ 意見交換会 地域課題を共有し、自由討議による意見交換会を行います。 |
自然環境・エネルギー資源・農業資源・商工業、観光資源・循環型経済展望…などなど、市民と行政がともに置賜のグランドデザイン描き、行動していきたいと思います。
ぜひ、多くの皆様のご参加をお待ちしております。
尚、参加申し込みは、プラチナ構想ネットワーク事務局の外にも置賜自給圏推進機構でも承ります。
連絡先 : 一般社団法人置賜自給圏推進機構
参加申し込みとお問合せは以下のフォームからも受け付けております。
またファックでも受け付けております。置賜自給圏推進機構 Fax:0238‐33‐9354
※プラチナ構想ネットワークのご紹介
東京大学第28代総長の小宮山宏が代表を務める任意団体。我が国の諸課題を見据え、全国にエコで、高齢者も参加して地域で人が育ち、雇用のある、快適なまち(プラチナ社会)づくりを推進する国民的運動を展開。会員は企業経営者・自治体首長・学識者等 約300名。
参加申し込みとお問合せは以下のフォームからも受け付けております。
またファックでも受け付けております。置賜自給圏推進機構 Fax:0238‐33‐9354
2月3日は山形県飯豊町に集合! ドキュメント映画を観て、トークを体験しませんか?
みんなで話そう「意見交流会」もあります。
お問合せ・交流会参加申し込みは 飯豊町役場総務企画課特別政策室(担当:高橋・二瓶)
mail:i-tokusei@town.iide.yamagata.jp 電話:0238‐87‐0695 Fax:0238‐72‐3827
置賜自給圏トピックス
2018年12月20日木曜日
プラチナ構想ネットワーク事務局にお骨折りいただき、今回で三回目となる置賜地域の将来ビジョン構想策定のためのワークショップを開催しました。
12月6日(木)午前11時から、山大工学部百周年記念会館セミナールームで開かれたワークショップには東京大学「プラチナ社会」総括寄付講座特任講師の菊池康紀先生をはじめとする6人の研究者の方々、山形大学工学部からも野田先生はじめ6人の先生方、そして置賜自給圏推進機構からは渡部代表理事はじめ8人の常務理事および正会員。
昼食をはさんだ総勢21人による意見交換会となりました。
プラチナの岡村事務局の進行により渡部代表の挨拶に始まった今回の意見交換会。
東京大学の菊池特任講師がファシリテーターとなって「置賜エネルギーグランドデザイン」をテーマに、これまで外部に依存してきたエネルギー資源を地域の資源に転換することによって得られる経済効果という視点も取り入れた具体的なビジョンづくりのためのワークショップ。
過去二回のワークショップでも、このテーマについては現状と課題を確認してきましたが、今回は今後二年間でやるべきことや担い手は誰なのかという具体的なビジョンや目標を意識してのワークショップとなりました。
地域内の利用可能なエネルギー資源は豊富にあるものの、エネルギーの需要予測や供給見通し、また現状調査と未来予測も含めたこれらの調査活動の必要性も改めて確認されました。
誰がその調査活動を担うのかという具体案も出され、いよいよ本格的なアクションプラン作りがスタートすることになります。
来年二月には四回目の意見交換を開催することを約しての終了となりましたが、まだまだ置賜に暮らす住民や行政のニーズの所在や置賜のグランドデザインについての議論が必要ですし、何より次世代を担う方々の参加を募る手法も必要です。
置賜自給圏構想の具体化への課題は多岐に亘りますが、この度の参加していただいた多くの研究者の方々の知見を活かしながら「置賜の未来ビジョン」を描いていきたいと思います。
文・写真 … T・E
11月16日東京都豊島区の大正大学において、ピコ水力発電研究会が開催されました。
以前にも紹介しましたが、ピコ水力発電とは小河川を利用した数百W程度の微小な水力発電のことで、売電事業には適さない地産地消の電力とも言われています。
長井市ではこのピコ水力発電の地域実装に向けて、今年度は市街地の河川2箇所での水位と流速調査を実施しています。
このたびのピコ水力発電の情報交流会には、全国から研究者や開発製造事業者、そして長井市からピコ水力発電担当課長、自給圏推進機構からは井上専務理事、江口常務理事、高橋利直会員など22名の出席があり、4時間にわたって10の研究と事例紹介・質疑と意見交換が行われました。
河川に流れ込む落ち葉などを除塵するための技術紹介や発電効率を上げるための技術開発研究の実情、また地域における発電装置の設置経過例など、今後の技術開発や地域特性などに対する課題など多岐にわたる議論が展開されました。
ピコ水力発電の実例は全国的には未だ少ないものの、自給圏推進機構では、身近にある市街地の豊富な水資源から電気を得て地域で活用しようとする長井市の取り組みをサポートしています。
初期費用の低減化や地元企業による技術開発、受益者となる住民ニーズ研究、水車や発電機の永続的稼働などの課題もありますが、売電によらない電気の地産地消の先駆的事例となるようにと期待を込めての情報交流会への参加でした。
来春3月には、長井市で2回目のピコ水力発電シンポジウムが開催される予定ですが、環境に負荷をかけずに地域の資源で身近な電気を作り利用するための創意工夫が発揮されることを期待したいと思います。
文・写真 … T・E
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