連載「おきたまに根をはって」

第6回 農民からの手紙

菅野芳秀(共同代表理事)

寒い日が続いている。

あの日も同じ寒い晩だった。友人の百姓が一升瓶を下げて訪ねてきた。

「熱燗がいいね。」

いい酒があり、いい友がいて、いい時間が流れていく。

やがて彼は懐から封書を取り出し、照れくさそうに私に読んでくれとさしだした。

そこには彼の笑顔と一対の、彼が当時、精魂込めて取り組んでいた世界が書かれてい

た。

 いま、その手紙は俺の手元にある。ここに、彼の承諾を得て、その抜粋を掲載す

る。ちょっと長いがぜひお読みいただければありがたい。

 20231月の今と状況はほぼ同じ。振り返りながら読んでも決して古い感じがしな

い。いまでも、まったく同じことが求められていると思えるのだ。

               

 置賜自給圏

―農民からの手紙()・その抜粋

 

「いま、山形県の南部、置賜〈ルビ=おきたま〉地方(3市5町)で「置賜自給圏」

と名付けられた地域づくりが始まっている。

この自給圏を端的にいえば、「暮らしに必要な資源を、同じ置賜の田畑や森や川に求

めることで生活全般の地域自給を高め、あわせて地域経済の再生や健康増進を促進し

ようとする」ということになろうか。

 自給圏の対象は大きく分ければ「食と農」、「エネルギー」、「森と住宅」、「学

び」の4つだ。

 「学び」は大事だと思っている。置賜の優れた歴史と伝統を学び、先人の知恵を今

に活かし、ふるさとに生きる誇りを取り戻すこと。これは欠かすことは出来ない。

 そして、一般の人と共に、土や農にかかわる機会を増やし、生き甲斐づくり、健康

づくりを通じて医療費削減の世界モデルを構築しようとする。「世界モデル」という

のは大きすぎる話しかもしれないが、私たちの気負いとして受け止めてほしい。さら

に、この事業は、同じ地域の人と人、人と地域のもう一つの出会いを創りだすこと、

地域に根差した新しい文化を創り出すことでもある。」(以下略)

 

「批判と反対」から「対案」へ

―農民からの手紙()・その抜粋

 

「TPPに象徴されるグローバリゼーションの中で日本の農業の多くは斜陽産業と化

し、農家は果てしなく減少している。数千年の歴史を刻み、多くの人材を世に送って

きた村は高齢化し、その機能すら維持できなくなりつつある。私たちはこの流れに全

力で「NO」を訴えてきたが、それだけではもちろん十分ではない。よしんばTPP

を潰したとしても、右肩下がりの現状はかわらない。求められているのは「反対」を

越えた私たち自身の「対案」であろう。今のようでないもう一つの「農を織り込んだ

暮らしや地域」を築いていくこと。 

 TPPやグローバル化の中にあっても、なお暮らしていける地域のあり方や人と人

のつながり、仕組みを考えて行く。考えるだけではなく、それらを「対案」として実

際に築いてこうとすることが求められているとおもうのだ。

 希望を織り込んだ新しい「対案」を山形、置賜から全国に。この気概をもって置賜

自給圏を創造しようと思う。

 ここで肝心なのは、地域(づくり)の操縦桿は永田町、東京などに握られていて、

地域は彼らの幸せづくりの「道具」、「部品」として位置づけられているような現実

があるけれど、操縦桿を地域に取り戻し、その上で各論をみんなの力で創りだそうと

することだ。この立場にお立つことがこの事業の基本だろう。地域の操縦桿と決定権

は地域住民にあるということだ。」(以下略)

 

対案の前提条件

―農民からの手紙(三)・その抜粋

 

「その上に立って、グローバリゼーションの道とは違う、もう一つの農業、地域を築

く上での前提条件を考えたい。

【前提1】〝土はいのちのみなもと〟の上に立って

我々は土に依存して生きる。土が汚れれば、そこから育つ作物も汚れ、土の力が弱れ

ば、作物の生命力も弱り、食べる我々の生命力も弱る。我々は土と一体だ。政治や行

政の最大の課題が、人々の健康、すなわちいのちを守ることであるとすれば、そのい

のちを支える土の健康を守ることは第一級の政治課題でなければならない。土といの

ちとの健康な関係を築くことを抜きにし、面積、規模、効率性だけを追うケミカル農

業とその農業政策はすでに過去のものとされなければならない。目先の経済性よりも

いのちの世界を優先させること。土は未来の人たちと共有するいのちの資源。その土

の健康を守ること。これが前提の第一だ。

【前提2】国民(市民)皆農を織り込んだ新しい道

家族農業(小農)か然らずんば企業農業かではなく、たとえば、農を志す都会の若者

たち、農を織り込んだ暮らしを実現したいと願う市民や、自給的な生活を望む人たち

にも広く農地を解放するような仕組み。農民的土地所有(利用)だけでなく、市民的

土地利用を可能とするシステムへの転換。望めばできる市民皆農への道。これを地域

づくりに織り込みながら、新しい農の在り方、生産のあり方、暮らしのあり方、村の

在り方を創造する。「健康」、「福祉」、「医療」、「自給」、「教育」などを織り

込んだ新しい農(土)と人々の関係をもう一つの農地利用の柱として政策化するこ

と。これが前提の第二の条件だ。

【前提3】自給的生活圏の形成を

 個人と地域自給が基本。国家の自給はその結果の話であって、けっしてその順番は

逆ではない。我々は国家のパーツではない。

 地域農業が地域社会に健康な食材を提供し、地域社会が地域農業の農作物を積極的

に活用することでこれに応える。農地が近くにあることではじめて実現できる豊かさ

を地域の中に取り戻すこと。当然のことながら農作物を地域外に売ることに反対して

いるわけではない。それは「外貨」を獲得するうえで必要なことだ。地域ごと自給自

足のタコツボに入ろうと呼びかけているわけでもない。そうではなく、地域の田畑と

人々の暮らしとをもう一度つなぎなおすことで、本来持っている田舎の豊かさを取り

戻し、それを全国に開いていこうということである。今までのような産業政策一辺倒

ならば、グローバルな市場経済の浸透とともに、地域経済が衰弱し、村の消滅が始

まっていくだろう。村の崩壊は日本農業の再生基盤の崩壊につながり、やがて日本自

身の崩壊へとつながっていくに違いない。

人々の暮らしと地域の中の田畑が有機的、自立的につながること。これが第三の条件

だ。」(以下略)

 

置賜自給圏推進機構の結成へ

―農民からの手紙(四)・その抜粋

 

「構想を実現させるにあたって必要なことは、①かつての保守だ、革新だ、あるいは

〇〇党だというような政治的な枠組みにとらわれない生活者・住民の事業としての広

がりをもち、②市民と関係団体、行政が相互に連携する共同事業として育てて行かな

ければならないこと。③単なる同好会のような同じ色合いを持つ者同士が集まって、

何かをしようとしてもこの構想は実現できない。④それぞれ異なった考え、異なった

価値、異なった生き方をしてきたものたちが、相互の違いを認め、尊重しながらつく

り上げられていく連携。この中から「自給圏」が生み出されていくということ。

 仲間たちとの議論の中では、この構想の必要性に疑問を投げかけたものはだれもい

なかったが、実現しようという事業の大きさと、「構想案」を囲んで話し合っている

自分たちの非力との落差に話が及ぶたびに、楽天的な笑いが生まれていた。どんな事

業もここから始まる。

(以下略)

余計なひと言

―農民からの手紙(五)・その抜粋

「希望はどこかで我々がやってくるのを待っていてくれるということはない。希望は

だれかが与えてくれるものでもない。それは自分たちで創りだすものであって、それ

以外の希望はけっしてやっては来ない。」(以下略)

 これで手紙は終わりだ。微笑みながら静かに酒を飲んでいる彼の顔をみていた。身

体に気を付けてほしい。心からそう思った。

  彼は「自給圏を作ろうと集まった人たちにはそれぞれに、それぞれの背景や動機

があり、物語がある。俺はその中の一人でしかない。でも、すばらしい仲間たちの一

員でいることがうれしい。」と繰り返し話していた。

 やがて二人はべろべろによっぱらっていった。家の外は厳しい寒さをともなって、

しんしんとふけていく。

 2023年の今日。彼らの奮闘にもかかわらず、状況はますます悪くなっている。

「足腰が悪くなってね」

 そう言いながらも、久しぶりにやって来た彼は相変わらず笑顔を湛え、楽しそうに

地域の話をする。メゲナイいい奴だよ、まったく。その生き方が気に入っている。そ

れでな、遅ればせながら、今年から俺も彼らの仲間に入ることにしたよ。

 もし、あなたが置賜に来てみたいと思ったなら、歓迎するよ。彼もぜひ紹介した

 

い。一緒に一杯やるべぇ。


連載「おきたまに根をはって」

第5回 コカ・コーラとトカゲ

菅野芳秀(共同代表理事)

 

 

 

 俺は最近とみにコカ・コーラとトカゲを思う。

 トカゲをビンの中に入れて飼っていたら、やがて成長しビンから出られなくなって

しまった。そんなトカゲに向かって、お前にはビンを割って出てくる力なぞはあるま

い、そうだろうニッポン・・と寺山修司。コカ・コーラはアメリカ。

 戦後80年にもなろうとしているのに・・国を代表する外交政策も、国内政治の舵取

りも、その予算編成も、当然ながら沖縄も、その他の基地問題も、原発も、農業政策

も・・コロナ対策でさえ、コカ・コーラのビンの中。アメリカの言いなりだ。こんな国は世界に例がない。誇りを失ってしまった国、「植民地」ニッポン。

「イイじゃないか、その方が軍事費は掛からないし、安上がりでトクだから」

 バカタレ!損得のはなしでない!

この国の自立とそこにすむ人々の尊厳にかかわることだ。

 

 過日、鹿児島の知覧に行って来た。知覧・・特攻隊の出撃基地があったところ。若

くして、特攻で死んでいったたくさんの青年たちの手記に出会うためだ。18歳で、19

歳で、20歳で・・。自分たちの死は避けられないが、そこから未来世代が教訓をくみ

取ってくれるなら、決して俺たちの死は無駄ではないはずだ。そう信じて家族と別

れ、恋人と別れて飛び立って行った多くの青年たち。そんな彼らの、たくさんの手記

に出会えた。

 

 俺は昭和24年生まれ。戦後世代だ。彼らが託した「未来」そのもの。その中に生き

ている。

 そして・・・悔しいが、我々もまだにビンの中だ。

 彼らに対して恥ずかしくない生き方は当然だが、単なる個人の「生き方」に留まっ

てはならない。

 何か特別なことを考えているわけではないが、敗戦の日が近づくにしたがって、毎

年、そんなことを考える。 

 

つづく

 


連載「おきたまに根をはって」

第4回 車のハンドルを握って町まで買い物に行って来た

菅野芳秀(共同代表理事)

 ようやく田植えが終わった。

「大変そうだから手伝いに行くぞぉ」という方もいたが、「チ、チ、チ、チ(と、人差し指をたて左右に振りながら)」そんな訳にはいかない。

都会の人は田植えが一番忙しく、人の助けが最も必要な時期だと「勘違い」している。田植えは大変でないとは言わないけれど、一株一株手で植えていた60年ほど前と違い、田植え機械で行う今は、他の作業と比べて特別に大変だという訳ではなくなっている。

雪解けとともに始まったなが~い農繁期ももうじき一区切り。日々、これまでの成果が緑の早苗の広がりとなって拡大していく。ここまで来ればやれやれ・・だ。そんなところに都会から手伝いに来られたら、それだけでまた一苦労。どうせ手伝いに来てくれるなら農農繁期をはずして来てくれた方がナンボか楽だよな。

 

 ところで今日(6/8)、車のハンドルを握って町まで買い物に行って来た。

ヤッホー!!2年ぶり!

大きな病気の後遺症で、2年ほど前。デスクワークをしていたら、「フッ」と意識が飛んだ。病気のあと、過度なストレスがかかるとそうなることもあるらしい。言われてみたら、母親の介護で夜も昼もなく・・かなりキツイ日々が続いていた。

「お薬も出しているし、もう繰り返すことはないと思いますが・・。」

それでも医師の判断でなんと、2年間の運転停止だと!

車が無ければ不自由極まりない田舎社会。どこに行くにも妻や友人に頼み、連れて行ってもらわなければならなかった。疲れている彼らにビールを2~3本・・などとはとても頼めない。彼らも大変だったと思う。俺は俺で申し訳ないと思っていたし、それだけでなく、常に隣に人がいる窮屈さ。一人になれないことも辛かった。だけどようやく運転免許証が戻って来た。どこへでも行ける。一人の時間もある。ビールも買いに行ける。

 

その間、様々な「気づき」を得た。あなたがもし、俺と久しぶりに会ったのなら、「あれつ、人が変わったね。」となるかもしれないよ。

 

しばらく連載を休んでいたのは、家に閉じこもり、ろくなことを考えなかったからだ。田植えは終わったし、運転免許証も戻って来た。あの人にもこの人にも会いに行ける。さあ、これからだ。

 

つづく


連載「おきたまに根をはって」

第3回 求められているのは『新しい社会主義』佐藤藤三郎さんの話

 

菅野芳秀(共同代表理事)

 

佐藤藤三郎さん(農業)、山形県上山市狸森在住。昭和10年生まれの86歳。

藤三郎さんが暮らす地域は奥羽山系の中の山合の村。

果たしてここを車が登れるのかと思えるほどの狭く急な坂道を登って、下って、また登って・・の所にある。

藤三郎さんはその地で田んぼを作り、炭焼きを行い、牛を飼いながら、家族を支え、子どもを育てて来た。

「牛は、10年ほど前に手放したよ。3年前、83歳の時にコメ作りからも引退した。」今は奥さんと二人でわずかに野菜を作り、近くの直売所に運んでいるという。

 

「田んぼかい?今は雑草が生えたままになっている。田んぼに気の毒でよぉ。田んぼには悪いことをしたなぁと今も思ってるんだ。」

 

藤三郎さんはペンを持つ百姓として、高畠町の星寛治さん、上山市の木村迪男さん、今は亡き山形市の斉藤太吉さん等と共に山形県で最も有名な農民の一人だ。

 

農業、農村の立場から現代を捉え、厳しく批評する文化人。

文筆家。それでいて決して偉ぶることなく、いつも親しみやすい笑みを湛えている農民知識人。

尊敬する先輩だ。

過日、藤三郎さんのお話を聞く会をもった。

お話は2時間にも及んだが、いずれも興味深い話だった。

 

「今は、村祭りも維持できなくなってしまっている。若い人が村に生き残られる。それも堂々と。そんな農村社会を作れたらなぁと思う。」

「兼業化することが村を守ることにつながる。農業を大規模化するのではなく、農+農外収入で村と農業を残す。そんな農村社会がいい。」

 

日本の農政は長いこと兼業農家を農業の発展を妨げる邪魔な存在、淘汰の対象として来たし、今もその農政は力を失ってはいない。

小農の離農が途切れることなく続いている。

藤三郎さんの話はそれとは真逆の話だ。

俺はその話を聞きながら、ロシアの「ダーチャ」(検索して知ってほしい)を思い浮かべ、置賜自給圏が構想する市民皆農、国民皆農の未来を思った。

 

「経済をグローバル化するのではなく、小さい農業でいいから、楽しく生きられる社会にしたいものだと思う。」

藤三郎さんの話に引き込まれ、いつしかメモを取ることもできなくなっていたが、最後に力を込めて話した言葉がいつまでも耳に残った。

「求められているのは『新しい社会主義』だと思うよ。」

この一言に、藤三郎さんの歩んで来た足跡、これからも歩み行く方向が凝縮されているように思えた。コロナカ禍のなか、久しぶりに出会えた学びの時間だった。

 

2022年1月30日記

 

つづく


連載「おきたまに根をはって」

第2回 帰(かへ)りなんいざ。田園将(まさ)に蕪(あ)れんとす、胡(なん)ぞ帰らざる。

菅野芳秀(共同代表理事)

 

ご無沙汰しています。 

 

どうにかここまでたどり着きました・・本当にこんな感じで・・岸辺に着いてもなお、ヒーヒーあえいでいます。

 

「七転八倒百姓記-地域を創るタスキ渡しー」(現代書館)

 

 1977年、百姓として生きようと志を立てて村に帰ったのだけど、「学生運動をやっていた過激派」。こんな包囲網がすでに地域中にあふれていた。さらに百姓1年目から始まった「減反」を拒否したことで、そこに「農協や行政に従わない男」、「村に同調しない男」・・・こんな評判が加わった。生きづらい空気に満ち溢れる。

 口笛を吹きながら、七転八倒・・。やがて近隣の農家や、地域の支持を受け、農薬の空中散布を中止に追い込み、そこからレインボープランという循環型まちづくりに漕ぎ出していく。 

 

「自分史」として書くならば、市井の一人でしかない私には始めからその資格はないし、出版する意味もない。

 私が百姓のそんな七転八倒記を書けるとしたならば、農民であるかどうかを問わず、同じような孤軍奮闘の日々を送っている友人たちに、何らかの連帯のメッセージを伴ったものでなければならず、また同時に私の体験が少しでもその方々のお役に立てること。これがあって始めてその資格ができ、出版する意味もあるだろうと思ってきた。果たしてそのような一冊になれたかどうかは、今でもまだ心もとない。(本文あとがきより)

 

出版社よりありがたい内容紹介をいただきました。

 内容紹介(出版社より)

著者は、長年にわたり農民として可能性に満ちた地域を守り、次世代に手渡すために、減反拒否、村ぐるみの減農薬運動、生ゴミと健康な作物が地域を循環するまちづくり等々に取り組んできた。グローバリズムを背景に小さな農家が切り捨てられていく危機に直面しながら、地域自給圏の創出、都市と農村の豊かな連携に今も力を注ぐ。アジア各国の農民リーダーと共に変革を生み出し、互いに学び合う関係を築いてきた著者のバイタリティーが、リズム感ある筆致から溢れ出す。

 

この本を、年齢を問わず同じ時代を「七転八倒」しながら生きている、まだ見ぬ仲間たちに。そして同じ世代の仲間たちにも心からの連帯の気持ちを込めて送りたい。特に同世代には「すでに一つの山を越えたし、七〇歳だから」という人もいるが、自分の生き方を決めるのは志と情熱であって、自然年齢ではない。そんなものに左右されてたまるもんか。対象は、よりひどくなって我らの前にその醜態をさらしている。

「帰(かへ)りなんいざ。田園将(まさ)に蕪(あ)れんとす、胡(なん)ぞ帰らざる。」である。ともに参りましょうぞ!

 

菅野芳秀  山形県長井市寺泉1483

携 帯:090-4043-1315

メール:narube-tane@silk.ocn.ne.jp

 

2021年10月15日金曜日


置賜自給圏推進機構の代表理事の一人 菅野芳秀共同代表 が長い沈黙を破ってついに執筆活動に入った。その第一弾を置賜自給圏推進機構に連載を開始。タイトルは「おきたまに根をはって」。農家として思想家として菅野節がさく裂するかもしれない注目の第1回。


連載「おきたまに根をはって」

第1回 地域づくりに必要なこと

 菅野芳秀(共同代表理事)

 

個人的にちょっとした出来事があって、自給圏の活動を休まざるを得ない期間があった。その間、あれやこれやを振り返りながら色んな事を考えていた。それらの多くはとても文章に出来る代物ではないが、今回、置賜自給圏の事務局から短文の依頼を戴いたことを機会に、あまり気張らずに考えていたことのひとつ、ふたつを書いてみようと思う。

今回は最初という事もあって、少し背伸びした硬い文章となっているが、その辺は人物の小ささの現われとしてお見逃し戴ければありがたい。

 

地域づくりに必要なことは、出来るだけ大きな視点に立って遠くを見とおし、地域の可能性を考えて見るということ。時代は大きな転換期を迎えている。どんな転換期か。いささか言い古されてはいるが、本筋は変わらない。工業系が主導した生産効率を何よりも優先した資源収奪型社会から、社会が持続的であることを最優先課題とする生命系が主導する地域循環型社会へ。

この文明史的とも言える大転換期の中にあって、その転換に成功するかしないかの中に、我々が生存し続けることが出来るか否かがかかっている。地域づくりもまたこの大きな文脈を反映したものでなければならない。

私は農民だ。よって、農民の立場からこの大きな転換期に参加しようと思って来た。つまり大きな世界観のなかに農業を位置付け、農を基礎とする循環型社会を作り出すこと。そんな視点に立った地域政策、市民の政策が必要だ。1980年代後半ぐらいからずっと言われている「地球的に考え、地域的に活動する」と言うことである。

これでは駄目だといくら繰り返しても社会は変わらない。難局には対案(地域政策)をもって参加する。その具体的展開を農村の中から考えていこうと思って来た。

 

 さて、転換期とは理想を語る時代である。別な言い方をすれば、大きな夢を語り、それを行動に移す時代ということもできる。理想と夢がなければ取り組む意味がない。理想と夢があってもそれを実行に移さなければ何にもならない。希望に決意を込める。理想を形にすること。転換期とはそのような時代の事を言う。自給圏の出発点もここにあろう。

その視点を持って足元を見わたして見る。そこには我々が棲む大好きな置賜盆地が広がっている。中に分け入れば、もちろんそこには我々が誇る様々な良さがあるが、ここをこうしたいという改善点もない訳ではない。でも、その欠点を指摘する前に大切なのは、まず今そこにある地域を丸ごと肯定するということ。ここまで地域を伝えて来てくれた先人の思いと努力に感謝し、その思いを受け継ごうとするところから地域づくりはスタートする。ここが基本であり、地域づくりの出発点もここにあると思っている。

そこで・・あっ、紙面が尽きた。この続きは次回で。

 

2021年9月3日金曜日

 


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「オーガニックフェスタ米沢」出店募集について

 

置賜自給圏ニュース 2017年9月21日木曜日

 

置賜自給圏推進機構の小関恭弘理事から「オーガニックフェスタ米沢」出店募集のお知らせがきています。

 

小関理事は「米沢地域有機農業推進協議会」の会長です。

 

今回で4回目を迎える「オーガニックフェスタ米沢」にぜひあなたの生産品を出店してみませんか。

 

 

 内容は次のとおりです。

 

 

有機農業に関する情報の発信と食の安心・安全に関心のある消費者との交流を図るため、4回目となる標記イベントを下記のとおり開催することになりました。

 

つきましては、出店募集について下記のとおり御案内申し上げますので、この機会にぜひ御出店いただき、PRや交流の場として御活用ください。

 

 

1 日  時  平成29年11月12日(日) 9:30~14:00

 

2 会  場  米沢総合卸売センター P-PAL

        (米沢市中田町760)

 

3 申込締切  平成29年9月27日(水)

        *チラシ掲載の都合上、期限厳守でお願いいたします。

 

4 そ の 他  

 

(1) 多数の申込みがあった場合、出店いただけない場合があります。

 

その際、イベント趣旨の都合上、有機栽培農産物やオーガニック商品を扱う店舗を優先的に受付けさせていただきます。

 

(2) イベント当日、各出店者様より商品を提供していただき、来場者を対象とした抽選会を企画しています。

 

農産物や各店で使える商品券などなんでも結構ですので、御提供賜りますようお願い申し上げます。

 

御提供いただける場合は、申込書に記載願います。

 

(3) その他、詳細については別紙出店募集要項を御覧ください。

 

 

 

米沢地域有機農業推進協議会

会長 小関 恭弘

 

 

オーガニックフェスタ米沢 出店者募集要項

 

■開催概要

 

 期日  2017年11月12日(日)9:30 ~ 14:00

 

 会場  米沢総合卸売センター P‐PAL(〒992-0011 米沢市中田町760)

 

 主催  米沢地域有機農業推進協議会

 

 後援  米沢市、山形県有機農業者協議会

 

 内容  地元有機農産物や特別栽培農産物、関連する加工品などの販売、 その他催し物。有機農業や有機農産物普及のためのPR など

 

 予定来場者数  400名

 

 出店者数  20程度

 

 

■出店要項

 

 出店要件  

 

①オーガニックフェスタ米沢の趣旨に合致していること(主催の判断による)。        

 

②販売商品に「有機栽培」や「特別栽培」など消費者が一目でわかるよう包装や店頭掲示で表示すること。

        

③慣行栽培に由来する農産物や加工品の展示・販売は原則禁止させていただきます。有機的生産加工が困難で、配慮が必要な商品を出品希望の場合は、事前に米沢地域有機農業推進協議会の確認をお願いします。

 

 

 ブース概要  大きさ:2m×2m 付属品:長テーブル(180cm×45cm)2台、椅子2脚

 

 料金   出店料:3,000円/1ブース

 

電気使用料(申請した場合):2,000円/1口

 

 設備   電気:申込書にて申請ください。

 

        水道:会場2階の設備を使用いただきます。

 

        ガス:なし。使用したい場合は各自でカセットコンロを準備願います。

 

商品搬入   当日午前8時30分~9時10分 搬入口(北側・南側 2か所)から搬入

 

申込方法   申込書に必要事項を記入し、FAXまたは郵送にて下記担当までお申し込みください。

 

申込期限   平成29年9月27日(水)

 

売上金   全額各店舗の収入

 

各種申請   飲食物の販売は「臨時営業許可」が必要です。各自保健所に申請してください。

       (無料提供(ふるまいや試食)の場合、許可は不要です。)

 

■申込先

 

 米沢地域有機農業推進協議会 事務局(米沢市農林課内)

 

 〒992-8501 米沢市金池5丁目2番25号 

 

 電話:0238-22-5111(内線5008) FAX:0238-24-4541

 

 

以上です。


【江口忠博】レインボープラン…「循環型社会」への挑戦(2015年3月20日)



【菊地富夫】生産者からの手紙(2015年2月17日)



【菅野芳秀】置賜自給圏ー農の現状から(2015年2月12日)


【菅野芳秀】友人の手紙 (2015年1月11日)








(*)置賜自給圏は今、何をしているのか、何を目指しているのか、各理事の視点で語ってもらいます。


一般社団法人 置賜自給圏推進機構設立総会 ご案内(*終了しました)

海士(あま)町長 山内道雄氏記念講演
海士(あま)町長 山内道雄氏記念講演

本機構の趣旨に賛同される皆様のご参加をお待ち申し上げます。

 

1)日時:2014年8月2日(土)午前10時 〜 午後12時30分

2)場所:米沢市「置賜総合文化センター」1Fホール

 米沢市金池3丁目1−14 電話:0238-21-6111

3)1部 設立総会 2部 記念講演 講師:島根県 海士町長 山内道雄氏

        (過疎の海士町をよみがえらせた成功事例をお話いただきます)

4)参加費:無料

5)連絡先(参加ご希望の方はFAXかメールで事前のご連絡をお願いします)

一般社団法人 置賜自給圏推進機構 設立準備委員会

〒992-0031 山形県米沢市大町4丁目5番48号 マツヤ書店ビル3F

電話:0238-33-9355 FAX:0238-33-9354 

メール:mirai21@trust.ocn.ne.jp

 

以上

 

設立総会のご案内(参加無料)(*終了しています)

置賜の風景1

地域資源を基礎とした「置賜自給圏構想を考える会」

設立総会のご案内

 

1)日時  平成26年4月12日(土) 13:00~15:30

2)場所  伝國の杜 「大会議室」(2F)

山形県米沢市丸の内1-2-1  

電話 0238-26-2666

3)内容  

◯設立総会

◯記念講演 「新しいローカリズム-置賜自給圏構想への期待-」 (仮題)

講師 山形大学 人文学部長 北川忠明

4)その他  ご出欠につきましては、4月11日(金)までお知らせ願います。

 *)また、当日の参加費は無料ですが、カンパ大歓迎です。

 *)託児あります。(お子様1人につき300円。定員15名まで。事前申込必要です。お子様の年齢をご連絡下さい。託児の申込締め切りは4月9日(水)まで)

(託児は定員に達しましたので、締め切らせていただきます)

5)問い合わせ先

地域資源を基礎とした「置賜自給圏構想を考える会」仮事務局

〒990-0021 米沢市花沢町2695‐4(今井医院 西隣) 

グループホーム結いのき内

電話 090-3122-5530(井上) 

Fax 0238-37-0961 

メール info@yuinoki.or.jp

 

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拝啓 寒さの中にも春の足音が聞こえてくる季節になりました。皆様にはご健勝でご活躍のこととお喜び申し上げます。 

 さて近年、国ごとの規制や制度の枠組みを越え、世界を一つの市場にして規模と価格とコストの果てしない競争を強いていく、こんな動きが勢いを増し、国内の零細企業、家族農業、地域経済の先細りが進んでいます。

 この状況を打開するために、置賜を一つの「自給圏」ととらえ、圏外への依存度を減らし、圏内にある豊富な地域資源を利用、代替していくことによって、地域に産業を興し、雇用を生み、富の流出を防ぎ、地域経済の好循環をもたらすという、新たな視点に立った地域づくりを検討しようという声が大きくなってきています。

 そこで、圏内有志が集い、置賜の農業やエネルギー資源と地域との関わりについて、人々の暮らしをつなぐ新しい地域のあり方を考える“地域資源を基礎とした「置賜自給圏構想を考える会」”設立に向けた準備を重ね、「設立趣意書」(案)を作成いたしました。

 基礎的生活資源の自立、自給こそ地域づくりの根本とするこの「置賜自給圏」構想は、かつて米沢藩の名君と讃えられた上杉鷹山公の地域づくりと通い合うところがあるように思われます。

 つきましては、「置賜自給圏構想を考える会」の設立総会を、多くの圏内有志のご参加を得て、開催したいと存じますので、ご趣旨にご賛同いただき、ご出席くださいますようご案内申し上げます。

敬 具